＊41 F.Side ページ6
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第2ピリオドを終えて、10分間のハーフタイム。
ベンチに腰かけると、ギャラリーの女の子達が水やタオルを持って押しかけて来る。
隣から汗を拭うなべが『やっぱふっかはモテんな。』なんて言うけど。
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いや、それなべも大概だからさ、
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女の子達の声援が俺たちの力になっているのは確かなことですっごく有難いし、感謝してるんだ。
けど、さ。本当は一番に試合を見に来てほしいって思う子が居て…
でもその子は今頃、好きな人と幸せな時間を過ごしてると思うから。
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紗 「でね？辰哉。この近くに最近カフェが出来たんだって、もしよかったら、」
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やけにザワザワとしてるコート。
"大丈夫？"とか"この子意識あるの"、とかそんな声だって聞こえて来る。
どうしたんだろ。なんかあったのかな。
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渡 「アレ大丈夫かな。」
深 「なべ、なんかあったの…？」
渡 「あっちのコートで練習してたやつのボールが当たったぽい。結構速い球当たってたから心配だな。」
深 「……ちょっと見てくるわ。」
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手に持つボールをベンチに置いて人集りのところまで向かう。
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深 「ごめんね…？ちょっと通させて。ごめんね。」
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女の子達の輪の中を抜けて行き、辿り着いたそこ。
ふわっと鼻を掠める懐かしい香りに一瞬だけ嫌な予感が頭をよぎった。
床に倒れ込んでる一人の女の子。
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深 「…っ！」
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その嫌な予感は、悔しくも的中する。
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頭が真っ白になった。
嘘だろ…？なんで、どうして…っ、
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どうして、Aちゃんが…？
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深 「Aちゃん分かる…？Aちゃん…っ」
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深 「誰か先生呼んでもらえる…？」
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瞼を閉じたまま、
名前を呼びかけてもピクリともしない彼女。
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変に動かしたら脳震盪とか起こすかもしんない。
今の俺には、ただ…彼女の手を握って
何事もないことを祈ることしか出来なかった。
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2021年8月16日 10時
