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あ 「…阿部先輩、？」
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阿部先輩の優しい瞳が私だけを見つめる。
掴んだ腕を離すと、両手で私の手を包み込んだ。
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阿 「今日Aちゃんに伝えたいことがあるって言ったでしょ…？だから言わせてね。」
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阿 「俺ね、Aちゃんのことが好きです。」
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あ 「…っ、」
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阿 「こんなにずっと傍に居たいって、守りたいって思う子に出逢ったのは生まれて初めてだった。」
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阿部先輩が、私を好き…
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この日が来ることをずっと、待ち望んでた。
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前までの私なら素直に喜べていたのに、上手く言葉が出て来ない。
どう答えていいか分からなくて、思わず唇を噛み締める。
阿部先輩の顔を見ることが出来なくなって、そうして無意識に顔を俯けた。
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私を包む手をそっと離した先輩は、はぁとため息をつくと、笑うんだ。
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阿 「ほんとはね、俺の傍に居て下さいってそう言いたい…だけど…Aちゃんが見てるのは僕じゃない、」
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あ 「…えっ、」
阿 「ふっかのこと、好きなんでしょ？」
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どうして…それを…？
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阿 「やっぱり。本当にお互い素直じゃないんだから。」
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阿 「後悔したくないから、気持ちだけはきちんと伝えたかった。今日は楽しい時間をありがとう。」
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優しい風が頬を撫でる。
背を向けようとした
阿部先輩があっ…と言葉を続けた。
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『…ふっかなら今日、補習受けに行くって言ってたよ？ちょうど終わる頃なんじゃないかな。』
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あ 「阿部先輩、あのっ…」
阿 「、っ明日からは何でも話せる先輩と後輩に戻るから。じゃあまたね？」
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最後の最後まで優しくて、素敵な
私が好きになった阿部先輩だった。
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阿部先輩、本当に大好きでした。
ずっと、ずっと憧れの先輩です…
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あ 「深澤、先輩、」
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私は走る。
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あの人の待つ場所まで、
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2021年8月16日 10時
