05:愛されていること ページ5
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今一度、櫻井のモテモテ事情に気付かされた。
絶対に“櫻井と付き合っている”この事実を隠さなきゃ私の会社での立場はない。
絶対キラキラ女子たちに殺される。
「Aちゃんさ、知ってる？」
「え？」
何で殺されるって発想？って可笑しそうに笑いながら、大野先輩は「あのね」と口を開いた。
「翔ちゃんはモテるけど、好きなのはAちゃんだけだよ」
「…え、そっか」
「愛されてる実感あるでしょ？(笑)」
思わずその事実を見落としていて、大野先輩の言葉にポッと顔が熱くなった。恥ずかしい。
「んふふ、ああ見えて翔ちゃんは嫉妬の塊だからね」
分かりにくいけど分かりやすい、と大野先輩は柔らかく微笑んだ。
大野先輩には敵いそうにない、と率直に思う。
確かに好きだったはずなのに、櫻井の言う通り“本気”じゃなくて“勘違い”だったのかもしれない恋。
大野先輩を知りたいと思って吸い出したタバコを、今度は櫻井のために吸っている。
どうして私は大野先輩を好きになったのか、その答えは多分一生見つからない。
「好きって気付けない不器用さに、好きだって気付いたときの嫉妬心…頭良いくせに面白いなぁホント(笑)」
この恋も大野先輩の仕業だったのかな…なんて思うと恐怖を感じて背筋がゾクッとした。
「ありがとうございます。ちょっと気持ちが落ち着きました」
「いつでも付き合ってあげるよ？」
「えっ！？」
「翔ちゃんに泣かされたら俺んとこおいでね」
冗談なのか本気なのか分からない言葉は
「なんてね(笑)」
冗談だと受け取ることにした。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年2月25日 15時
