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ニコチン切れが半端じゃない。
そして大野の顔を見てイライラが倍増する。
「俺を誘えよ」
「翔ちゃん甘い物好きじゃないでしょ？パンケーキ嫌いって言ったじゃん」
「あんときは気分じゃなかっただけ」
「え〜言ってよ、じゃあ誘ったのに」
大野と休日に会うのは最初で最後だと思っていたあの日。
生クリームがバカみたいに乗った甘ったるさ全開のパンケーキを食べていた大野を思い出した。
「つか、何でケーキバイキング行ったんだよ」
根本としてそこが問題だ。
どうしてケーキバイキングに行く流れになったのか。そこが重要な問題だ。
誘われても大野と休日に会うのは気が引ける。てか会いたくねぇ。
その感情は一旦おいて、返事を待つ。
「甘い物食べたいよね〜って話で、新しくオープンした店を思い出して」
「は？ちょっと待て」
「ん？」
「甘い物食べたいって話はいつしたんだよ」
「世間話の延長？」
「軽々しく話しかけんなよ」
もうここまで来たらただの天然かよ、と思ってしまうほど。
いや、この男はふわふわとした雰囲気を作り上げているだけで、中身は狡猾な男だ。腹黒い。
その事実をときどき忘れそうになる。
…あっぶねぇ、また騙されるところだったわ。
「翔ちゃん嫉妬深すぎ(笑)」
「ほぼあんたのせいだろ、いや、全部あんたのせいだわ」
がんを飛ばせば、「Aちゃんのことホントに好きなんだね〜」と大野はケラケラと笑った。
「ああそうだよ、だから今後一切触れんな話すな」
我ながら、口から滑った言葉の束縛加減に引く。
…引くどころじゃねぇ、自分で自分にドン引きだわ。重すぎんだろ俺。
重いオトコとか考えらんねぇって思ってた俺に笑われる。
「翔ちゃんそれは重いよ(笑)」
「うるせえ」
「挨拶くらいはさせてよ」
「色目使ったら今度こそ殴るからな？」
「俺彼女いるって(笑)」
「あんたの貞操観念を信じられるかよ」
「信じてよ(笑)」
重たい愛を募らせるのは、この喫煙所で。
〈悩めるオトコの本音は喫煙所で〉−END−
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年2月25日 15時
