営業一課の本音は居酒屋で ページ31
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side Minami
「ミナミってホントに翔ちゃん好きなんだね(笑)」
ケラケラと笑いながらタバコを吸う男。大野智。
私と同じ営業一課で同期。
「バカにしてる？」
「ふふ、別に〜」
テーブルを挟んで向かいに座っている智は、「フラれたのに未だに執着してるなんて、翔ちゃんイイオトコだったんだね」と何でもお見通しな顔して私にそう言う。
協力してくれるって言ったくせに、と口を尖らせれば、「俺が協力してもミナミに勝ち目なんてなかったよ」と淡々と言い返された。
…悔しい！
カシスオレンジの入ったグラスを傾けて勢い良く喉に流し込む。
ヤケ酒だ。こんなにも誰かを好きになったことはなかった。
悔しいほど櫻井くんに惚れていた自分がバカみたい。
最初は“かっこいい”という理由だけで告白して、そしたらオッケーの返事を貰って、付き合って。
単にアソビだったくせに、いつの間にか本気で好きになって、重たいオンナになって、あっけなくフラれた。
私だってアソビだったんだから！と意地を張ってすぐに違うオトコに乗り換えた。
それなのに櫻井くんのことが忘れられなくて、どうしようもなくなっていた。
そんなとき、櫻井くんと仲が良い智に縋りつく様にして相談をすれば、『俺と付き合ってくれるならいいよ？』だなんて声を掛けられた。
何で？と言えば、『ミナミのためだよ』と言われて、何も考えずに頷いた。
表向きに「付き合ってる」とするだけでいいと言われただけだし、それで智が櫻井くんとの関係を取り持ってくれるなら不満はなかった。
“恋人のフリ”はしていないと、ということで智とは「彼氏彼女」の雰囲気を作ったり、その流れでキスだって普通に出来たし、それ以上だって普通に出来た。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年2月25日 15時
