191:キスの定義 ページ31
.
「ふーん？」
大きな目が逸らすことなく私を捕らえる。どこか挑発的な視線。
全然私の言葉響いていない。やはり言い訳は通じない。
「もう痛いってば！離してっ…きゃっ！」
櫻井から目を逸らして、頬を掴む櫻井の手を振り払えば、次の瞬間にはドンと肩を押されてソファに身体が倒された。
櫻井が私の上に跨り、馬乗り状態の体勢。
こうなったら櫻井の気が済むまで逃がしてくれないやつだ。
…参った。逃げ道がない。口でも力でも櫻井には敵わない。
「二宮、と、キス、したんだ？」
単語に区切って、全てを強調するような言い方。
だ、の部分で、わざとらしくコテンと首を傾げて、可愛らしい仕草をする櫻井は、かなり厄介だ。
私が認めるまで問い質すつもりなんだろう。
実質的にはもう肯定だと捉えているはずなのに、わざわざ面倒なことをしてくる。
ここで認めても認めなくても、櫻井の怒りは多分収まらない。
じゃあどうすればいいのか、だ。
その出来事が起こった原因などには目もくれずに、結果だけを重視する櫻井に、いくら言い訳を並べても無駄だ。
つまりは対抗する手段がない。合理主義の櫻井の面倒臭いところだ。
「無言は肯定だと捉えるけど？」
両手首を掴まれ、物理的にも櫻井から逃れられない。とことん詰める隙のない完璧さ。
「…あれは、キスのうちに入らない」
「やっぱキスしたんだ。ったく、どんだけ隙だらけなんだよお前はなぁ」
「ごめん。でもっ、一瞬だから！ホントに一瞬だからキスじゃないの！」
「一瞬でも口に口が触れたらキスって言うんだよ」
あからさまに不機嫌な口調に顔つき。
正論ではある。でも本当に一瞬触れただけだから、あれをキスだと判断しかねる。これも言い訳だけど。
「ごめんね？でも私はキスって思ってないから」
もう素直に謝っておこう。多分、いや絶対許してくれないけど。
「思ってる思ってないの話じゃねぇの。はあーもう…殴りてぇほどムカつくんだけど」
「明日二宮くん殴らないでよ」
「は？リアルに殴るわけねぇじゃん、アホか。俺一応、社内じゃ爽やかイケメンで通ってるんですけど？その面目を自ら潰すなんてバカすぎるわ」
理性的な櫻井がそんなことはしないと分かっているけれど、たまに突拍子もないことをすることがある。
櫻井は極端すぎるから、やりかねない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2381人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妃紀(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます♪おそらく櫻井は好き過ぎて堪らない彼女に指一本触れさせたくないと思ってると思います(笑)6章も読んでくださると嬉しいですー！ (2019年10月22日 22時) (
レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - キスとハグだけ？私も翔さんと一緒で〜許せないかも(￣▽￣;)触られるだけでやっぱり嫌だ！私の愛も翔さん並に重いのかも(笑) (2019年10月19日 19時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - 結城さん» やっと！仲直りしてくれました〜！本当にすれ違いが酷くて、ここまで辿り着くのに時間がかかりましたね(笑)今後も楽しんで頂けるように頑張ります(*´ω｀) (2019年6月23日 23時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
妃紀(プロフ) - みかぽさん» みかぽさん！お久しぶりです！コメントありがとうございます♪やっと仲直りしてくれましたよ〜！イチャコラして欲しいですね(´艸｀*) 二宮くんの気持ちを考えると切ないですが、きっと誰か素敵な人が現れるはずです…！更新頑張りますね♪ (2019年6月23日 23時) (レス) id: ad41dd4440 (このIDを非表示/違反報告)
結城(プロフ) - 仲直りきたー！ありがとうございます(;_;)この瞬間を待ってました(〃ω〃) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 3f7c57052f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：妃紀
| 作成日時：2019年2月11日 21時
