◆126:美人 ページ6
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無意識に頭を支配させられ頭が重い。自分のこういう思考回路が時に面倒臭くなる。
だからって理にかなってない思考を抱くのは嫌だ。はあ、めんどくせぇ俺。
「どうぞ」
ブンブンと今までの思考をフェードアウトさせ、手に取った資料をすぐに彼女に差し出せば、「ありがと」と短く言葉を発してから俺の手からそれを受け取った。
久しぶりに目を合わしたな、と思った。
多分向こうもそう思ったんだろうな。俺の顔を見て驚いたくらいだし。
営業一課の武藤ミナミ先輩。
相も変わらずこの女は美人だ。美人オーラが漂ってる。
顔もスタイルも申し分ない。だけど性格は受け付けない。
見た目に反して子供っぽい幼稚さがある。それは付き合うまで見抜けなかったけど。
多分世の男はこんな女に言い寄られたら断ることはできないと思う。
現に俺だってその一人だったし。男なんて単純だなって思わされた。
今はこの女と付き合った過去を消し去りたいと思うほど黒歴史。
俺が彼女のことを“ミナミ先輩”と砕けたような言い方で呼ぶのは、俺が新入社員の頃、彼女は一課ではなく二課に在籍していて、俺の教育係だったから。
まあ言わば、良くしてくれていた元上司。
だけど俺が入社二年目の頃、ミナミ先輩は一課に異動になったからそこからはあまり関りがなかった。
その頃は別に俺に好意を持っていなかったはずだ。見た目通りモテるだろうし、彼氏は途絶えなくいそうな雰囲気だったし。
俺も別に彼女に好意を持たなかったし。仕事における彼女の姿勢は好きだったけど。
プライベートを知ってからは苦手な女になった。
仕事とプライベートの顔は違うんだな、って。まあ俺だってそうだけど。
だからって女に対して基本素は見せない。女で俺の素を知っているのはAとミナミ先輩だけ。
ミナミ先輩に知られたのはやむを得ない事情のせいだ。
何となくあの一件があってからは話をするのが億劫になっていた。
思い返せば、先輩相手に派手にやり過ぎたな、と後悔した。
それでも面倒さが上回った彼女の性格は苦手を通り越してる。
自分のエゴのためだけに、他人に被害を与える女が一番嫌いだ。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年9月27日 20時
