147:不安と不満 ページ27
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大野先輩と席を変わってから暫くして、トイレに行きたくなって席を立った。
足取りがちょっとフラフラする。
やばい、これ以上飲んでたら一人で帰れなくなってたかも。思ってたよりも飲まされたなぁ。
お酒に弱いことをいい加減ちゃんと自覚しなきゃ、と思いながら突き当たりにあるトイレに向かった。
「はあ…ちょっと頭痛いなぁ」
用を済ませて、独り言を零しながらトイレから出たときだった。
「お前、酔い過ぎんなよ」
聞き慣れた声がスッと耳を抜けて、俯かせていた視線を瞬時に上げれば、そこにいたのは櫻井。
「わっ、びっくりした…」
突然視界に入って来た櫻井の姿に驚いた。そして何だか久しぶりにちゃんと目を合わせた気がする。
「ったくさ…お前は酒に弱いんだから無理して飲むな。ちゃんと自己管理しろ」
「まだ大丈夫だよ。歩けるし、そんなに酔ってない」
「嘘つけ。顔真っ赤だし、フラフラしてたけど？それでも酔ってねぇって言えんの？」
嘘だと言われれば嘘だけど。無駄に意地を張ってしまった。
壁に身体を預け、腕を組んで、顔を顰めた櫻井は見ての通り不機嫌。苛立ってるのが見てすぐ分かるほど嫌悪感が顔に出てる。
何でそんなに怒ってるのか分からない。
私がこの前お酒で失敗したから？またこの前みたいに泥酔しそうだから？
それで気に掛けて声を掛けに来たの？
ただ怒ってるのか、ただ私を心配してるのか。
どちらとも取れるし、どちらでもないかもしれないし。
櫻井の気持ちが何も分からない。
「…櫻井のバカ」
「は？」
「もう分かんないよ、櫻井のこと」
気が付けば、ポロっと口から本音が零れた。
何でずっと私のことを避けているのか分からないし、私の話を聞こうともしてくれないし、櫻井が今何を考えているのかが全く分からなくて、ただただ不安と不満が募る。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年9月27日 20時
