145:マイナス思考 ページ25
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「あ、Aちゃん俺の隣空いてるよ？」
今日やるべき仕事を済ませて、相葉くんと、会社を出る手前で途中で合流した松本くんと一緒に指定の居酒屋に向かえば
お店に入ってすぐ、そう言って私を手招きした大野先輩につられ、流れで右隣の椅子に腰掛けた。
相葉くんと松本くんは大野先輩とは反対の奥の方にいる櫻井の方へと向かって行った。
その流れで櫻井の左隣にいる人を見れば、ミナミ先輩だった。
そうだ、一課と合同だから先輩もいるんだ。何だか少し、きゅうっと胸が痛い。
本当なのか分からないけど、櫻井は過去にミナミ先輩と付き合っていたという噂がある。
櫻井本人はその噂を否定していたけど、考えて見ればミナミ先輩は櫻井の教育係を担当していたし
そういう意味では親しい間柄ではあるから付き合っていても可笑しくない気もする。
なに、私嫉妬してるのかな。ミナミ先輩は大野先輩の彼女なのに。
ミナミ先輩は社内でもよく“美人”だと囁かれている。
私から見ても先輩は見惚れるほど綺麗だし、大人の色気もあるし、櫻井と付き合うのに釣り合いが十分取れる容姿だ。
櫻井の“彼女”に相応しいのは、きっとああいう美人で綺麗な人なんだろう。
私とは正反対のタイプ。背丈も、雰囲気も全然違う。
背が高くて、スラッとしてて、華やかさがある先輩に比べて、私は背が低いし、キラキラしている女子でもない。
それに、私のこと櫻井はタイプじゃないって前に言ってたし。
地味にショックだったけど、顔の好みはあるだろうし。
はあ、だめだ。今は何考えてもマイナス思考に陥る。
自分に自信を持てない。櫻井が完璧過ぎて、自分の粗が余計に目立つ。
そもそも私も櫻井の顔がタイプかって言われれば、そうでもなかった。
好きになってからは顔も含め全部が好きだと思えるようになったけど。
性格だって、付き合う前は考えていることは複雑で面倒臭いしって思ってたし、そんなに好きじゃなかった。
私はいつからこんなにも櫻井のことを好きになったんだろう。
気付けば、どうしようもないほどにあなたに惹かれていた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年9月27日 20時
