123:骨の髄まで ページ3
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「んふふ、ホントに分かんない？」
コテンと小首を可愛らしく傾げた大野先輩が、ゆるりと口元を緩めて問う。
ちゃんと考えれば答えは自分で見つけられる。
そんな風な言い方だと捉えられそう。
答えを導き出そうと頭を捻って考える。
櫻井はどうしてか私が櫻井以外の男の人とご飯などに行くことを異常に嫌がる。
“俺以外の男を見るな”
見たこともないような冷め切った目で、そう言われた。
どうしてそこまで嫌がるのかがいつまで経っても分からない。
大野先輩は、私に好意を寄せているわけじゃない。彼女だっているし。
相葉くんだって、松本くんだってそんな目で私を見ていない。
だけど、一つだけ突っ掛かった。二宮くんのこと。
二宮くんは私のことを“先輩”以外の目で私を見ていた。
異様に私と二宮くんとの距離感を気にしていた櫻井の今までの言葉を汲み取れば、二宮くんの好意に全く気付けなかった私にも非がある。
そして、金曜日の夜。キスされたのは私の注意力のなさ。
隙があり過ぎると何度か櫻井に言われた通り、隙を見せてしまった。
櫻井という存在がいながら、他の異性からそういう行為をされてしまったのは私に問題がある。
「翔ちゃんはね、きっと不安なんだよ」
あれこれと頭の中で考えを張り巡らしていれば、大野先輩が口を挟んできた。
「Aちゃんが可愛くて仕方ないから、他の男に捕られちゃうんじゃねぇかって不安に思ってるんだと思う」
ふう、と口を尖らせ、白い煙を吐き出す。
ゆらゆらと揺れる紫煙に混ざって、言葉が耳を抜ける。
櫻井が不安になる要素なんてどこにもない。
私は櫻井みたいにモテるわけじゃないのに。
「ふふ、Aちゃん翔ちゃんに愛され過ぎちゃってて困るよね(笑)翔ちゃんの愛は異常だよ。骨の髄まで愛されちゃってるんじゃない？」
クスクスと笑いながら大野先輩はそう口にした。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年9月27日 20時
