39:男らしさ ページ39
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レンタカーを借りた、と言う櫻井の手に引かれ、駐車していたコインパーキングに向かって歩いた。
助手席に乗り込み、シートベルトを締める。
チラッと運転座席に座る櫻井に目を向ければ、「あんまり見るな」と顔を顰めてきた。
チラッと見ていただけなのに。
見るな、と言われたら見てしまいたくなるのは本能。
ハンドルを切る櫻井をジッと見つめる。うん、かっこいい。
かっこいい以外の言葉は当てはまらないくらいかっこいい。
信号が赤になって止まれば、チラッと私の方に視線を向けた櫻井と目が合う。
「何だよ」
「かっこいいなって」
「Aが素直すぎて怖い」
「バカにしないでよ」
「してねぇよ、すげー可愛い」
顔が近づいてきて、あ、と思ったときには、チュ、とキスを落とされる。
「可愛すぎ」
ふっと鼻で笑った櫻井が意地悪な顔を浮かべながら、綺麗に口角を上げた。
結局櫻井の思う壷に嵌る。だけどそれが妙に心地よくてキュンとする。
信号が青になると、再び前を向いた櫻井を横目で見つめる。
腕まくりしているから見える、腕の血管。
その腕に男らしさを感じてドキッとした。
意外と筋肉質な櫻井は抱きしめられたときの胸板の厚さで分かってはいたけど
改めてその事実にドキドキさせられた。
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車を走らせて約４０分。水族館に着いた。
車を駐車させ、水族館の入場口で入場券を買う。
お財布を出そうとすれば、その間に櫻井が二人分の料金を支払ってくれた。
「え、いいの？」
「黙ってありがとうって言っとけ」
入場券を手に取った櫻井が、キュッと口角を上げて笑いながら言う。
ドキリとしたのも束の間のこと、「早く行くぞ」と手をぎゅっと握られ、慌てて足を動かした。
「ありがとう」
「素直でよろしい」
ぎゅっと手を握り返せば、櫻井は、ははって少しはにかみながら微笑み返してくれた。
何これ、あり得ないぐらいドキドキしてる。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年3月15日 19時
