28:至近距離 ページ28
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飲み会自体が久しぶりなせいか、お酒の飲む量を周りに合わせていると
段々とアルコールが回り、頭がクラクラしてきたときだった。
櫻井がトイレに立って、そのあと大野先輩もトイレに席を立つのを横目に見つつ
ジョッキに残ったビールを飲み干して、もうお酒を飲むのはやめようと決めた瞬間
「センパーイ、飲んでますか〜？」
ベロベロに酔った相葉くんが片手にジョッキを持って、大野先輩が座っていた席にやって来た。
ドカッと腰掛けて、グイッと顔を覗き込んできた相葉くんは、ふにゃふにゃとした笑顔を浮かべながら
「ほら、飲みましょ！」と自分が手に持っていたジョッキを差し出してきた。
「もう私はお酒…」
「ええ〜…あ、俺の飲みかけじゃ嫌ですよね！スミマセン」
えへへ、と笑う相葉くん。何だか飲むと面倒な感じなのかな。
さっきも櫻井にベッタリ絡んでいたし、元々明るい性格だなって思っていたけど、酔うともっと陽気になっている。
しかも無駄に至近距離で見つめられているせいか、ドキッとしてしまう。
仕方ない、イケメンなんだもん。しょうがないよね。
あははって愛想笑いを浮かべてやり過ごしていれば
バン！とやけに大きな音を立て、ドアが開けられた。
「あ、センパーイ」
相葉くんの声と同時にドアの方へと視線を向ければ、櫻井が眉間にシワを寄せ、怪訝そうな顔つきで
「ちょっと相葉くん？」と呟く様に言いながら相葉くんを見ていた。
相変わらずふにゃっとゆるく微笑みながら「Aさんカワイイ」とニッと白い歯を見せる相葉くんの身体がピッタリと触れて
咄嗟に距離を取ろうとすれば、右から伸びた腕にさらっと肩を軽く抱かれて、そのまま相葉くんから距離が離された。
「相葉くん、Aさん困ってるから」
優しく肩を包んだ腕。
右を向けば、二宮くんににこっと小さく微笑まれ、肩に触れた手がすぐに離れた。
「櫻井さん座らないんですか？」
「ああ、ちょっと考え事を…」
二宮くんの声掛けに、眉間にシワを寄せたままぼーっと突っ立っていた櫻井がハッと我に返ったように
私の左にいた相葉くんを引っ張って元の席に連れ戻した。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年3月15日 19時
