24:センパイ ページ24
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可愛らしい笑顔を残し、先に歩いて行った二宮くんに遅れを取ってデスクフロアを出れば
ぽん、と後ろから肩を叩いた櫻井が「A」と声を掛けてきた。
「あ、櫻井。先に行ったのかと思った」
「待ってた、話がある」
エレベーターに乗る手前、腕を引かれて、壁際に連れて来られた。
「何？話って？」
「大野も誘った」
「は？」
「相葉と二宮に勘付かれないようにだろ？」
コソコソと少し小声で話す櫻井。
意味が分からず、どういうこと？と櫻井の顔をジッと見ていたときだった。
Aちゃん、と私の名前を呼ぶ、ふわっと柔らかい声色が聞こえて後ろに振り返れば、
ひらひらっと手を振る大野先輩の姿が見えた。
「あ、大野先輩」
「Aちゃん久しぶりだね」
「そうですね」
大野先輩のその言葉に、最近、見かけていなかったな…ということを思い出す。
確かに久しぶりに話した気がする。
「何か翔ちゃんに飲み行こって誘われたんだけどさ、翔ちゃん正気？」
「大野先輩と飲みたかっただけっすよ？」
「俺を利用してるでしょ？(笑)」
「勘が良いですねセンパイ」
「こういうときだけセンパイって言う翔ちゃんのずるさ」
ムスッと不満げに唇を尖らせる大野先輩に、「恨むなら俺のクソ上司を恨め」と櫻井は言いのけた。
「どういうこと？」
透かさず口を挟めば、「社内恋愛禁止っての破ったら多分俺らは上司に怒られる」と櫻井に言い返された。
「え？」
「僻地に飛ばされんの嫌だろ？」
「あ、まあ、そうだけど」
「つうか、二宮か相葉にチクられて上司に怒られるとか俺のプライドが許さねぇの」
「翔ちゃんの無駄に高いプライドに俺は付き合わされるの？」
大野先輩がヘラヘラと笑いながらそう言えば、「だから俺じゃなくてクソ上司を恨め」と再び櫻井はそう言った。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年3月15日 19時
