21:気持ちの裏側 ページ21
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「何よ？」
スッと視線を逸らすことも出来ずに、櫻井にジッと見つめられる。
少し冷たい目で私を見る櫻井は、相変わらず色気が溢れすぎていてドキッとさせられる。
二重幅が綺麗、そして白目と黒目のコントラストがハッキリとした大きな瞳。
パッチリとした目はいつ見ても羨ましい。
余計なことに意識を飛ばしていたことに気付き、ハッとその思考を無くしたとき。
「Aのこと好き過ぎてどうにかなりそう…」
顎を掴んでいた手が肩を抱き寄せ、そのままぎゅっと身体を包み込み
コツン、と額を私の肩に置いた櫻井がボソッと囁く様にそう言った。
「え、な、何？」
いきなり優しい声色、か細く響いたその声にドキリと心臓が跳ねた。
「お前さ、罪な女だな」
「は？何言ってんの？」
「“俺のことだけ見てろよ”って意味ちゃんと分かってる？」
首筋に顔を埋めて、ハ、と息を短く吐いた櫻井。
ぎゅっと背中に回った腕が身体を締め付ける。
櫻井の言葉にふと浮かび上がってきた昨日の出来事。
多分櫻井は私が二宮くんとご飯に行ったことが気に食わなかったんだろう。
でもあれは先輩と後輩の付き合いだし、軽いノリだったんだけどな。
昨日の素っ気ない『へえ』との一言に、櫻井の気持ちの裏側に気付けなかった。
「…嫌、だった？」
悪い事しちゃったのかな…と思い、そう口にすれば
「嫌に決まってんだろ…」
ふざけんな、とボソッと呟き、顔を上げた櫻井がフワリと唇を奪った。
言葉とは裏腹に、優しいキス。
優しく触れた唇が離れると、ギュッとまたきつく身体を抱きしめられた。
「ごめんね」
「許さねぇ」
「だって…」
「言い訳しても無駄」
コツン、とおでこ同士が重なり合うようにぶつけてきた櫻井が
「Aからキスして？」と優しい声色でそう言って来た。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年3月15日 19時
