◆15:捌け口 ページ15
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14時半を狙って来たわけじゃない。というのは半分嘘。
「ヤッホー、翔ちゃん」
「どうも」
この男しか捌け口がない。それが腑に落ちないけど受け入れるしかない。
大野を嫌いなくせに俺は大野を避けることをしていないのは事実。
「翔ちゃん一段と不機嫌だねぇ〜俺のことそんなに嫌い？」
「嫌いだけど、あんたより嫌いなやつがいんだよ」
喫煙所に行けば大野の姿が見えた。
ニコチン切れは増すけど、それは大野だけのせいじゃない。
とりあえずタバコを咥えて煙を吸い込む。
ふにゃっとだらしなく笑う大野を目の前にして、フーと煙を吐き出したとき。
「二宮くん？」
「あ？何で」
「そうかなって思って」
当たった？と目尻を下げて笑う大野に、またしても心を読み解かれていた。
今更そこに腹は立たない。ハッキリ言って無駄な感情。
「社内恋愛禁止ってなんだよマジで」
「やっぱ気にしてたんだ」
「あんたもそうだろ？」
「まあ、そうだね、ミナミ美人だから心配」
大野の惚気は聞きたくない。
さらっと受け流そうとしたのに、大野はケラケラと笑いながら続けた。
「松本潤くん知ってる？」
「ああ、まあ顔と名前だけ」
「松本くんすっごいイケメンでしょ？翔ちゃんと並ぶくらいさ。
だからミナミがイケメン！って目キラキラして見てんの」
「つか、よくあの女と付き合えますね？」
「翔ちゃんも付き合ってたくせに」
「だから、それ掘り返すな」
はあ…と大げさにため息を吐けば、「ごめんって」とヘラっと顔を緩めた大野に
再びため息をついた。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年3月15日 19時
