poison in his smoke 【N.K】 (ページ5)

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04. ページ5

雅紀家との楽しい時間を終えて、私は部屋に戻った。

沢山残した課題とにらめっこしていると、なんだか気が重くなってしまった。
こういう時はたいてい、部屋を片付けたくなる。

本棚の整理、電気の掃除。
オマケに引き出しの中を整理することにした。

引き出しの中から、見覚えのない一通の手紙を見つけた。

「……二宮和也…？」

恐る恐る封を開けて読んでみると、顔が赤くなるような内容が綴られていて、頑張って綺麗に字を書いたんだろうなあって伝わる文字と、何度も消された文面から、書き直したことがわかる。

俗に言う「ラブレター」だ。

二宮和也くんって誰だろう。
私はこのラブレターをもらってどうしたんだろう。

＿＿＿＿何も思い出せない。

ただ、胸に残るわだかまりが気持ち悪くって、何か思い出せそうなのに1ミリたりとも私の記憶は戻らない。
まるでそこだけ穴が空いていたように。

そういえば。と、少し思い出した。
今日雅紀が、私の元カレが二宮和也だと言っていた。
あの時は馬鹿げてると思っていたけれど、この手紙があれば辻褄が合う。

私がその封筒を手にしたまま、しばらく時間が経っていた。

それでもやっぱり、何も思い出せなかった。

引き出しの中にこの手紙をしまってしまうと、もう何も思い出せないような気がして嫌気が差した。
その時の私はどうしてだか、通勤用のカバンにその手紙を入れていた。

この1枚の手紙が、私の人生にどう影響を与えていたのか。
色々な思いを馳せながら、また私は机に向かってペンを走らせた。