poison in his smoke 【N.K】 (ページ4)

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03. ページ4

「なぁにA、そんなに俺のこと見つめちゃって」

いたずらにそんなことを言ってくるから、思わずぷいっと目を逸らす。

「綺麗な顔だなあって思って。」

柄にもないことを言ってみる。

自分で言っておいたくせに、改めて考え直すと顔が火照る。

「嬉しい事言ってくれるじゃん。俺、Aのそーゆーとこ好きだわ。」

なーんて、爽やかな笑顔で彼はサラッと言うから。
勘違いしてしまう。

「も～…。雅紀すぐそうやってからかうから。」

照れを誤魔化してあははと笑ってみせた。
心臓が煩いくらい鳴るのをかき消すようにして。

「そんなこと言うと、ほんとに奪っちゃうからね。」

そう言って、人差し指でサラリと唇をなぞった。
真っ直ぐに見つめる茶色の瞳が、私の目をつかんで離さない。
一滴、汗が滲んでポタリと落ちた。

「俺、本気だから。」

好きな人からこんなこと言われる幸せ、普通はないだろうな。
それなのにどうしてだろう。

こんなに心が苦しくなるのは。