私の天使君 (ページ23)

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海ページ23

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パンケーキ屋さん、もう通り過ぎちゃった
ひーちゃんは黙ったまま私の腕を引いて歩く

歩くペースも早くて何回も足がもたついて、だけどいつもみたいに大丈夫？も何も聞いてくれない

ひーちゃん、隠しててごめんなさい
きちんと説明してなくてごめんなさい

どんなことをしてでもいい、許してほしい

私を捨てないでほしい

｢A｣

『 … ん？』

｢どっか遠いとこ行こっか｣

遠くを眺めながら話すひーちゃんに少しだけ恐怖心を抱いた
何を考えてるのか分からなくて

だけど怖いのは一瞬で、ひーちゃんとどこか遠い場所に行けるなら幸せだと感じた

『どこ行く？』

｢ん～ … どこ行きたい？｣

『海とか？』

｢いいよ、行こ｣

いつものかわいい笑顔で私の髪を撫でてくれた

…

…

…

２時間くらい電車に乗って海に来た
けどもう辺りは真っ暗で波の音だけが響く

『真っ黒だね』

｢そうだな｣

真っ黒い海は私の心を表しているようでなんだか嫌だった
それにひーちゃんは真っ黒い海は似合わないよ

『ひーちゃん、やっぱり帰りたい』

｢なんで？｣

『暗いのやだ』

我儘過ぎ～なんて笑いながら私の手を引いて駅の方に戻ってくれる

ひーちゃんもちょっと怖かったのかな、なんて考えると笑っちゃう

｢次どこ行く？｣

『ひーちゃんの行きたいとこ行きたい』

｢迷うんだけど｣

そう言って２人で他愛もない話をしながら、また電車に乗った