私の天使君 (ページ21)

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理由 side I ページ21

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真っ暗な部屋に傷だらけのAがいた
その傷の理由はまだ聞けない

虚ろな目で俺を見つめ、同じ髪色にしたいと言った

真っ黒で真っ直ぐな綺麗な髪を染めるのは少し勿体無い気がしたけど、完成すると本物の天使みたいで目が離せなくて

飛んで行ってしまいそうで不安になった
１人で行かないで、俺も連れてって

Aの骨が軋みそうなくらい抱き締めるとAの匂いとは違う、煙草とバニラの匂いがした

どこに行ってたの？そんな匂い付けて傷まで作って

｢A｣

『なあに？』

｢俺以外に触らせないで｣

｢俺に全部ちょうだいよ｣

｢俺の為に生きてるんでしょ？｣

｢俺以外の為に生きようとしないで｣

口から出る言葉は全部汚れたもので

こんなことを言いたいんじゃない、もっと優しくAを包み込んであげたいのに

この世で１番幸せにしてあげたいのに
俺がこんな所為で上手くいかない

『ひーちゃん、私のこと好き？』

｢好きだよ｣

何十回も何百回も何万回だって言ってあげる

俺はAの為に生きてるよ
何より大切で

『私も大好き』

嗚呼 … Aを連れて遠い場所に行きたい