同じ地獄の中で (ページ9)

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恐怖心ページ9

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『照の家がいい』

そんな我儘は聞いてもらえなかった

そりゃそうだ、体調悪い人間が自分の家にいたらただの迷惑

それじゃなくてもパパと一緒にいたくないからと朝早くから照の家に行って迷惑をかけてるのに

｢ほら、部屋まで送るから｣

『ここで大丈夫だよ』

はじめて照がうちに来た時、すっごいびっくりされたなあ

たまたまパパが出張で１週間家を開けてたから＇うち来る？＇って聞いたら嬉しそうにうんうん頷いてた

で、いざうちに着くと＇お前金持ち…？＇と口をポカーンと開けてた

あの間抜けな顔は忘れられない本当に可愛かったの(笑)

今はもう慣れてマンションの前でうろうろしなくなったけどね

『本当に大丈夫、ありがとう照』

｢そんな顔で言われても＇分かりました、じゃあ帰ります＇ってならないから｣

大人しく送られとけって言ってくれるのは本当に嬉しい、けど今はそれ以上に照とパパが会ってしまうんじゃないかという焦りが勝つ

気持ち悪いのに＋焦りでどんどん体調が悪くなる

｢A？｣

『パ、パパおかえり』

フラグ回収
だから帰ってほしかったのに

｢あ … え、っと、Aさんとお付き合いさせていただいてます。岩本照です｣

｢… 娘がいつもお世話になっています、Aの父親です｣

余所行きの顔と声
照はガチガチに緊張している

私はというと冷や汗に出て震えが止まらない
今ここで怯えたら駄目だ、勘づかれる

『ちょっと体調悪くて照がここまで送ってくれたの！照もうパパがいるし大丈夫だよ、ありがと』

｢ん、心配だしまた連絡して｣

優しい笑顔を私に見せてくれる

でも私はその笑顔をまじまじと見る余裕はこれっぽっちもない

｢岩本くんありがとう、これからも仲良くしてやって｣

ポンッと頭に置かれた手は冷たくて照が帰った後何をされるんだろうと恐怖心でいっぱいになった

｢はい！こちらこそよろしくお願いします、では｣

『バイバイ』

自動ドアの向こう側にいる照に手を伸ばしたかった

でもそれは叶わない、小さなことなのに