同じ地獄の中で (ページ21)

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歩幅ページ21

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すっかり暗くなってしまった

先生は＇気をつけて帰りなね＇と一応先生らしいことを言ってきた

その気をつけては夜道に気をつけてなのか照に会わないように気をつけてなのか、どちらか分からない

照は多分私が帰ったと思ってるから、もしばったり会ったりなんかしたら疑問で頭がいっぱいになっちゃうんだろうな

｢A…？お前帰ったんじゃないの？｣

ほら、疑問でいっぱい
フラグ回収するのが得意になっちゃいそうだよ

『学校にいた』

｢何してたの？｣

『… 先生と話してた』

私も嘘が下手になっちゃったな

でも今回は仕方ない、嘘の選択肢が全然なかったんだもん

｢誰？｣

『だからせんせ、

｢だから何先生って？｣

… 保健室の駒崎先生』

｢ふーん｣

疑われてる
どうしよう

『照に我儘言ってしまったこと相談してたの、本当にごめんなさい』

一度嘘を吐いてしまうと嘘を嘘で固めなきゃいけなくなって、何が何だか分からなくなる

自業自得だとは分かってるけどやめられない

照は何も言わず私の手首を掴んで歩き始めた

いつもならゆっくり歩く私に歩幅を合わせてくれるのに、こんなにも冷たい照ははじめてで苦しくなってしまった

『照、痛いよ』

ほら、こんな声すら届かない