Limited lifetime (ページ27)

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神妙な面持ちになった医者はゴソゴソ書類を出してきた。

医「神野さん。今回搬送された時に頭を打ったということで詳しく検査させていただきました。」

「はい……」

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医「最近力が入りにくい時はありませんか？

例えばペットボトルや缶が開けられないとか、

もしくは足がつりやすい時とかないですか？」

「はい、あります。」

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医者の先生が出してきた例えは先生にとっては例えだったのかもしれないけど、

僕にとっては自分に当てはまることばかりだった。

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練習してる時に足がつったこと、

慎太郎とドライブに行った時缶を開けられなかったこと、

今回のこの怪我だって結局は着地の時に足の力が抜けちゃったからだし

さっと思いつくことだけでもこれだけあった。

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「当てはまることがあるってことは何か悪いところがあるってことですよね？」

医「確定診断をするにはこれからまた検査が必要ですが、

神野さんはおそらく

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ALS、筋萎縮性側索硬化症という病気です。」

先生から言われたその病名は馴染みがなくてその深刻さが瞬時には理解できなかった。

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できなかったからこそ恐怖に包み込まれた。