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2人と別れ、電車に乗ったわたしは携帯を見る。
不在着信は全部シルク。
メールは8通がシルク。
全部
“寝たのか?起きたら電話しろ。”
って、かなり心配してくれたんだなぁ。
“大丈夫?なんか嫌なことでもあった?
なんかシルクとモトキの様子が
いつもと違ったから気になったよ。
今度また話ししようね。ダホ”
さすがダホちゃん。よく見てるんだなー。
そのまま1番下のハートマーク1つだけのフォルダを開く。
保護メールでいっぱいのフォルダ。
新着メールを少しドキドキした気持ちで開く。
“明後日予定ある?
新曲聞かせろ!
MASAI ”
昨日軽い気持ちでついた嘘が
自分の首を絞める。
新曲作ってないなんて言えない。
明後日と書いてあるけど、
届いた時間で考えると、明日のことだ。
返信ボタンを押して
文字を打ち込む。
“おけ”
また従兄弟がみたら爆笑しそうな
メールを送信する。
昨日の悲しさや苦しさが嘘みたいで苦笑する。
センチメンタルな気分を返して欲しい。
鞄の外ポケットに携帯を入れると
ガサッと音がする。
昨日の帰りに駅でもらったばかりのチラシだった。
家で捨てそびれたそれを暇つぶしに見てみる。
優しそうな中年男性が腕を組んでいる写真が乗ったチラシの文字を追って行く。
(この人がアイドルグループ立ち上げるのに、
一期生を募集してるってことか。
締め切り明日じゃん。)
夢を叶える為の場所。
そのチラシの上に大きく書いてあるコンセプトが
頭から離れなくなった。
学校の最寄り駅で降りても
ぼんやりと考える。
将来の夢。
まだ考えるには早い気もするけど
ゆっくりもしてられない気がする。
チラシを綺麗に折り畳んでしまうと、
もう一度携帯を取り出す。
「あ、もしもしだほちゃん?
朝からごめん。放課後、話がしたい」
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月4日 23時