ハッピーシンセサイザ【マサイ】 (ページ46)

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マサイside

ンダホ家でシルク、モトキ、ンダホの３人と
緊張の面持ちで総選挙の中継を見つめる。

３位の発表で去年２位だった子が呼ばれ、
Aの順位が上がることは確定だ。

次、Aの名前が呼ばれなければ
アイドル界の頂点に立つという目標は叶うだろう。

願うように、祈るように画面を見つめる。

「今年度の総選挙第２位は、
最終獲得票数７０８５１票、山口A～！！」

司会者が読み終えると、

Aにスポットライトが当たる。
壇上に登り、トロフィーを受け取ると
マイクスタンドの前に立ち、深くお辞儀をする。

「投票してくださった皆様、応援してくださった皆様。本当にありがとうございました。」

「私はオーディションに受かった時、
弱音を吐かない、泣かない
と自分で決めてたんです。
だから今日まで泣きたい事があっても
ずっと我慢してきました」

Aの目が潤んでる。

「昨日、友達から言われました。
感情を隠すのはやめろと
だから今日だけ自分の感情に素直になろうと思います」

「すごく、悔しい」

ぼそっと呟くと
ぽろぽろと大粒の涙を流しながら続ける。

「この世界に入る時、アイドル界の頂上を目指すと
友達に大見栄を切ってきました。

去年、総選挙の開催が発表された時、
目指すべき頂上が見つかったと思いました。」

Aは涙を拭うと、胸に手を当てる。

「この悔しさを胸に、私は絶対成長してみせます。
私を応援してくれているみなさま、
どうかまた１年、私の成長を見守ってください。

来年頂上に立てる様、努力を惜しまず、
精一杯がんばります」

「たくさんの投票、本当にありがとうございました」
大きく叫びもう一度深くお辞儀をした。

会場が大きな拍手と歓声で包まれてるのがわかる。

俺らは中継を切り溜息をつく。

アイドルの世界は残酷だ。
どんなに頑張っても結果が得られるとは限らない。

ン「ずっと泣かずに頑張って偉いなぁ」

ンダホが咽び泣く。

モ「結局、Aはまだアイドルやるみたいだな」

モトキが呆れた様に言う。

シ「存ず」

シルクも呆れてる。

俺も少し呆れてる。