マサイside7 ページ36
マサイside
Aへの恋心を自覚したあの日からも
俺は変わらない日常を送っていた。
そしてあの日感じた通りに
Aのグループは少しずつ売れていった。
メジャーデビューが決まり、選抜メンバーにAも選ばれる。
冠番組では、恥を捨てきったモノマネや変顔でうまく笑いを取っている。
頭の良さを生かした素早い返しをMCの芸人にも認められているのか、うまくオチに使われている。
劇場公演のチケットは抽選制になっていて、
運が苦手な俺は月に一度当たればいい方だ。
作詞、作曲の方も頑張っている様で
公演曲の数曲は、Aが手掛けていた。
肩が触れ合うほど、近くにいた幼馴染が
どんどんと遠くに行ってしまうのは
とても誇らしいが、寂しくもある。
(本当にフィッシャーズに戻ってくるのだろうか?)
専門学校への進学が決まってから
自由登校になり暇を持て余しているからだろう。
考えたくないことを考えてしまう。
いつもの公園でモトキと合流し歩き始めると
家族で引っ越す事を告げられる。
同時に、Aが一人暮らしを始める事も。
モトキの話を聞きながら、階段を登る。
Aも住んでいる、モトキの家。
なんだかんだで2年半ぶりくらいだ。
懐かしさに目を細めながら
モトキがドアを開けるのを眺める。
「わっ!」
ドアの向こうには
アイドルではない、素顔のAがいた。
43人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月4日 23時