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「ありがとうございます?」
不機嫌そうに褒められたせいか、素直に喜べず
疑問形になってしまった。
プロデューサーがパソコンからUSBメモリを外し、わたしに手渡す。
「暇を見つけてまた作ったら、持ってきなさい。出来によっては、君の名できちんと発表する」
はわわ。と言葉にならない音が口から飛び出す。
「頑張りますっ!」
立ち上がり、退室しようとするプロデューサーに深くお辞儀をする。
にやけた顔を抑えながら部屋を出ると
さっきのスタッフさんがわたしに二枚のメモを渡してくれる。
(あの2人の連絡先!)
伯母の運転する車の中でニヤニヤと
2人の連絡先を見つめる。
わたしの女子力低めなメールじゃ嫌われちゃうかも。
どうしよう!なんて下らない事を考えていると、
東京のホテルの駐車場に着く。
合格したらお祝いしようと
前々から伯母が予約してくれていた。
ちょっと高級すぎる気がするけど、
伯母からの愛情を嬉しく思う。
チェックインを済ませて部屋に入ると
いそいそとスパに行ってしまう伯母。
(自分が来たかっただけだったり?)
そんな疑問を打ち消し、
ベッドに腰掛けてメールを打つ。
フィッシャーズの6人へのメールだ。
モトキには、伯母が話してくれるらしい。
シルク
ザカオ
ぺけたん
ダーマ
ンダホ
マサイ
一人一人、違った内容の文章を打ち込み終えると、
携帯の中身を見ていく。
まだ数ヶ月しか使ってない携帯だけど、
フィッシャーズのみんなからのメール、
みんなでとった写真、ショートムービー。
フィッシャーズとの思い出がいっぱいあった。
明日の朝、みんなにメールを送ったら解約する。
もうこの携帯にみんなとの思い出は増えない。
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月4日 23時