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いつもより少しだけ早く起きた朝。
部屋の全身鏡の前で笑顔を作ってみる。

(みんなは可愛いって言ってくれるけど、
身内だからなぁ。)

鏡の中の自分を出来るだけ客観的に眺めてみる。

従兄弟に似てると言われる目元は、
自分でも愛嬌があると思う。
昨日は丁寧に手入れしたから、もう腫れもない。

机の上にある写真立てを鏡の隣に置いて、見比べる。

(似てきたなって言われたけど、本当に似てる。)

写真立ての中では
今は亡き母が笑っている。

自分にとって世界で1番綺麗な女の人。
彼女のようになりたくて、髪を伸ばしてきた。

(お母さん、天国で自慢できる娘になるよ。
心配かけるかもしれないけど、応援してほしい。)


全身鏡を元の場所に戻し、パソコンと向き合う。

応募要項をよく読み、空欄を埋めていく。
写真は前にマサイが撮ってくれたものを添付する。

(うまく撮れてるけど、詐欺じゃないかな?)

締め切りまであと4時間しかない。
念入りに最終チェックをし、
最後に申し込みボタンをクリックする。

開いていたページを閉じ、パソコンの電源を切ると、
部屋の隅にある二本のギターに目を向ける。

白いギターと、青いギター。
丁寧に手入れしていく。

あまりに時間をかけ過ぎたのか、
いつもの従兄弟のリズミカルなノックが聞こえ、
慌てて支度を始める。

従兄弟が待ちきれず、先に朝食を食べている中、切り出す。

「カイ君今日バイト?」

うんっと食事をやめることなく返される。

「今日マサイ来るよ」

ごほっと味噌汁を吹き出しそうになる従兄弟。

「もう心配しなくていいよ。大丈夫だから」

ニッと笑ってみる。
それを見て従兄弟も笑う。

時計を見て慌てて朝食をとり、
いつもより早めに家を出る。


一次審査合格と、二次審査の案内が
携帯に来たのは、
昼過ぎのことだった。

いくらか安堵して、最近会えてない伯父にメールを送る。

(進路について、話がしたいです、と。)

きっとすぐに了承の返事が来るだろう。

なんだかふわふわした落ち着かない気分で
午後の授業をこなしていった。

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設定タグ:マサイ , フィッシャーズ ,   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月4日 23時

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