【言葉のいらない瞬間】 (ページ5)

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*003 井ノ原side ページ5

井ノ原「まぁ、どっちだっていいよ。どうせ歳近いんだし俺らなあ」
三宅「ええ！、俺ら井ノ原くんみたいにオジサンじゃないしっ((逃げる」
井ノ原「あ？んだと？((追う」

岡田がﾁﾗﾁﾗ此方を見ながら健に訴えた。

岡田「ねぇ、よしくんあれでしょ？今日の授業参観でそわそわしてたんでしょ。だからよしくん、教室の前でﾎﾞｹｯって突っ立ってたんだよ。」

健は足を止め、こちらに振り返った。
口元をひょいっとあげ、頬は全力ってほど上がっている。
目はｷﾗｷﾗと光らせて白い歯を剥き出した。

三宅「えー井ノ原くんﾋﾞﾋﾞｯてんのー？授業参観」
井ノ原「はぁ？ﾋﾞﾋﾞｯってねぇーし！！」

いや、でも本当はかなりビビってる。
だけどボケっとしてたのはそっちじゃないんだよな。岡田。
そん時は坂本先生にだわ…

三宅「嘘だあ、でも、どうせ人なんか来ないよ、だって高校の授業参観だもん、ねぇ岡田ー」
岡田「え、そうなん？俺んとこくるよ、ひろしが」

ん？ええ！！、授業参観人こないの！？
てか岡田。こいつは親も名前で呼ぶのか(笑)

健と岡田の会話に動揺しながら俺はひそかに期待の目線を健に向けて話を聞いた。
でもその期待はすぐに自分自身の中で消化した。

まあだって健の言うことだし適当だろ

三宅「えー、岡田んちくんのー？高校の授業参観って精々四、五人だよ」
岡田「へーそうなんや～」

おいおい納得すんのかよ。ん？でも実はそうなのか？
一度消化したはずの期待をちょっと信憑性の増した健の具体的な言葉でもう一度取り戻した。

そっか健は一年生２回目だよな、あ、じゃあ来ないんだ！
その期待が叶った安心からか自然と頬が上がる
いや、実際叶ったかは結局そん時になってみないとわかんないけど
でも、叶った気がする。

安心したら俺がここへ来た目的を思い出した。

井ノ原「あ、やべ、ファイル渡さなきゃ、健、岡田俺行くわっありがとうな！」

廊下を勢いよく走って向かったら健と岡田の話し声が聞こえた。

そういえば岡田、健が１ｺ上ってこともう知ってんだな、
あいつら仲良くなるの、早ぇーなぁー、まだ入学して、二週間ちょっとなのに

三宅「やっぱり井ノ原くんﾋﾞﾋﾞｯってたんじゃーん」
岡田「先生が廊下走っていいのかな」
三宅「高校は聞かないよ、岡田」