*002 井ノ原side ページ4
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井ノ原「とは言ったものの、坂本先生って今何組で授業だろう。…あ、6組、俺のクラスじゃん」
急いで階段を降り、左に曲がり昇降口の前を通りすぎた。
―キーンコーンカーンコーン――キーンコーンカーンコーン―
井ノ原「や、やべっ授業が終わるっ」
右に曲がり6組へ向かって廊下を走った。
奥の6組のドアからゆっくりと人影が近づきその戸が開いた。
―ギギギ
井ノ原「あ!坂本先生!!!」
「何」とばかりの目で合い、一瞬俺は ビクリ としたが
坂本先生はその長い足をゆっくりと一歩ずつ向けて来た。
坂本「どうなされましたか?井ノ原先生」
その低く落ち着いた声は、何処と無く俺の中に響き、妙に懐かしい感じがした。僅かだが間が空き、坂本先生が俺の顔を見て額にシワを寄せた。
井ノ原「あ、あの子犬のファイル知りませんか」
坂本先生は表情をもとに戻し、脇に抱えられていた出席簿と教科書の間からファイルを取り出し、俺に渡した。
坂本「ああ、あれ井ノ原先生のだったんですか」
そういってさっさと前へ歩き出し、同時に教室のドアが開き、生徒の声で溢れた。
―ダダダダダ―ガヤガヤガヤガャ
井ノ原「え、あ、、ま、いっか。」
岡田「よしくん、どないしたん?」
後から袖をぐいっと引っ張る感触がした。
振り替えるとその大きな目に吸い込まれそうになった。
この瞳がキラキラしてるやつが岡田、同じくとなりでキラキラしてるいるのが三宅。コイツらは俺のクラスの生徒。
岡田はたまに変な関西弁が混じるが大抵標準語だ。少しもごもごした話し方が可愛い。
健は前の学校で出席日数が足りなかったらしく、本当は岡田の1コ上だ。
三宅「よしくんは無いだろ、岡田ー。ねぇ井ノ原くん」
井ノ原くんってお前もそうそう変わんねぇーだろ。でもなんか、このお星さまが混ざってそうな、キャラメルのような高い声で言われると憎めねぇ。まあ、そもそも岡田にいのっちとか呼べとか言っちゃったのは俺だから、しょうがねぇか。
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作者名:みりん | 作成日時:2016年8月27日 9時