【言葉のいらない瞬間】 (ページ12)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:17,751 hit

お邪魔します　前編*009 坂本side ページ12

どういうことだよ長野お前ってやつは…ったくあの人たちはどんな思考回路してんだよ、くそぉ！！

ﾋﾟｯと鍵を開けた。白いワゴン車の助手席に手をかけようとした長野に俺はﾁﾗｯと岡田をみやってから長野に合図した。
長野は嗚呼そうかと言わんばかりの顔で左足をｽｩｰと引き下げた。
いつもとは違う足取りで後部座席の方に回りドアを開けた

坂本「ほら乗れよ」

なかなか乗ろうとしない岡田に対して慣れた手つきで乗り込む長野、お前岡田を置いてくなよな
真ん中の右側に座った長野は振り返って岡田と俺を交互にみてﾌﾌｯと笑った。

岡田は長野が先に乗ったのを確認すると俺の方をｼﾞｯとその大きな目で睨んできた。
こいつの目を見て分かったんだが俺がいなくなったあとの長野をずっと此処までに守ってきたのはこのちっこい少年ってことか
こいつのこの目を見ていたらなんだか安心出来るような気がした。睨まれてるのにな(笑)こりゃ、こいつの警戒心を解かねえとな。

俺はそんな自分に対して鼻で笑うと岡田がﾋﾞｸﾘと跳ねた。後ろを振り返り長野を見ると長野に促されるように車に乗った。

ようやく運転席に乗り込んで車を発進させた。
中央のミラーを除く。岡田は全身固まっているかのように緊張している。かと思えば隣の長野…こいつは目がとろーんとしていて体の力が抜けていった。

やばい…

そのままｶﾞｸｯと眠りだした長野を見て驚いた岡田は何がなんだかという表情になっていて段々と体が小刻みに震えてきて涙目になっていた。

ﾊｧｰ寝んなよ、長野！初めてのよくわからない人間の車に乗せられてる岡田の気持ちになれっての!!

そういう長野の表情はとても穏やかで何か企んでるようにも見える表情だ

しょうがねぇな、バカｯ

俺はｽｩｰと息を吐き出してから岡田に向き直った

坂本「こいつ、いつもこうなんだ、車に乗るといきなり寝んだよっあ、助手席んときは大体俺のナビな、ナビノヒロシ」

岡田はびくんっと体を震わせ長野をもう一度見
てから長野の表情を覗き込むようにみて安心したのかこっちに目線を向けてきた。

岡田「あの…ひろしとはどういう関係ですか坂本先生。」

その大きな瞳に不安の色を抱えながらも鋭い目付きで聞いてきた。