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*038 長野side ページ41
父さんは僕をかばって背中を切られた
そして僕の手を取って逃げようとした母さんも切られた
母さんは“ひろしっお前はいきなさい!!”と言い残してその優しい声を聞かせてくれることは二度となくなった
僕はその母さんの言葉に従って逃げようとしたけど逃げることはできなくて僕も背中に大けがを負った
僕の意識が朦朧とする中その男は僕らの現場に気づいた警備員と中年の男性の肩を切りつけて突き飛ばし逃走していった
最後に見た記憶は真っ赤に染められた空間に目の前で横たわる母さんと
何度も殴られたりしたせいか頭が明後日の方向を向いてしまって、いたるところから赤い液体を流している父さんの姿だった
僕は此処がどこなんだかわからなくて
何が起きたのかわからなくて…
ただ必死にこの光景を見て飲み込もうとしていた
僕の目の前がじわじわと真っ暗になっていって目を開けているはずなのに何も見えてこなくなった
暗くて、怖い…
父さん、母さん…
体が思うように動かずそのまま真っ暗な世界に僕は落ちていった
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
俺は天井をｼﾞｰｯと見つめていた
長野「またあの夢かぁ…」
思い出さないようにしているのに…
あれからもうすぐ20年…
忘れたくても忘れられない…
母さんと父さんと過ごした数少ない思い出…
沢山の疑問を残したまま、時は過ぎてしまった…
もう振り返りたくないんだ。
すると穏やかな表情をした彼と俺は目があった
坂本「長野、目、覚めたか？」
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作者名：みりん | 作成日時：2016年8月27日 9時
