【言葉のいらない瞬間】 (ページ27)

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*024 岡田side ページ27

岡田「前にもこういうことがあって((ぐすん」
坂本「そうか、そうか」

その間もずっと坂本くんは抱き締めながら背中をさすってくれた

不思議なことに落ち着いていく…

「

かれこれ5年も前のこと…

僕は普通に寝てたんだけど急に大きな物音がして目が覚めたんだ…

「ひろし？」

部屋のドアを開けるとそこには台所で崩れかけているひろしの姿があった。
ひろしは体を起こしてフラフラしながら遠くない距離なのに物凄く苦労してトイレに胃の中のものを吐いた。

また台所に戻ってきて水を口に運んで、そのほとんどが床にこぼれた。
そして今度はその場で吐いた。でもなにも出てこなかった。変な液だけで。

その日も会議で沢山ご飯を食べてきたはずだから何も出てこないっておかしいと思った

ずっと吐いていたんだ。胃液しか出てこなくなるまで
とっても苦しそうに目をｷﾞｭｯとつぶって

僕はそんなひろしの姿を見るのが初めてだったから一歩も動けず身体中震わせて立っていることしかできなかった。

ひろしは何度も何度も立ち上がろうとして引き出しに手をかけては崩れ去り棚や床に何度も体を打ち付けて、また吐いて

このままじゃひろし死んじゃうんじゃないかって僕はやっと我にかえって
怖くて怖くて必死になってひろしに抱きついたんだ

そしたら

ひろしの体がびくんっと大きく揺れた…
その瞬間突き飛ばされて、僕は思いっきり飛んでいってしまって
顔をあげたらさっきまでのひろしは居なくなってた
どんどんさっきまでの荒い呼吸のテンポが狂い始めていた
そのままｶﾞﾀｶﾞﾀ震えだして過呼吸になって…

ひろしの目は何も移してなかった
目の前の僕もあの床も、壁も全部…あの瞳には移してはいなかった
表情も苦しいはずなのに何もなくて
ただただ怖かった

「ひろしっっ！」

怖くて怖くてひろしの名を叫んだ、そしたら、ひろし呼吸できなくなってその場に倒れて意識がなくなっちゃったんだ…

その頃ちょうど小学校で過呼吸の処置を習ったばかりだったからとりあえずひろしを安静なところに寝かせて呼吸を確保してしばらく待ったんだ

急いで保健の教科書を引っ張り出してよく読んで…
救急車って思ったんだけど家の電話は無いからひろしのケータイを探したでも見つからなくて

そうこうしているうちにひろしは目が覚めていた
でもﾎﾞｰｯとしてて何も喋らない、見ていない、人形みたいに…