【言葉のいらない瞬間】5 (ページ9)

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*179 剛side ページ9

剛「あいつがおかしくなるときはいきなりくると思ったんだ、そう思ったら遠足のこと気になって…あいつ楽しみにしてたから力入りすぎてるんじゃないかって、長野くんのいった通りそろそろヤバイかなあって」
長野「妬いちゃうなあ」

街灯が長野くんをちょうど照らした
長野くんの後ろしか見えてなかった
その青白く照らされる背中はどこか寂しそうにも見えて驚いた

剛「え？」
長野「健のこと大好きなんだね」

長野くんはスタスタと歩き続ける
俺は長野くんが何をしようとしてるのかわからなかった
俺は動揺して小さい声でつぶやいた

剛「はぁ？んなんじゃねえし…」

長野くんはふわりと笑って立ち止まった

長野「ははは、あ、剛ここだよ、坂本くんち」
剛「あ、ありがとう、長野くん。」

俺は止まった長野くんの前を越して立ち止まった
目の前のマンションを眺める

長野「坂本くんち1階だから入口は行ってすぐだよ」
剛「へぇ～にしても健のやつ井ノ原くんとも喧嘩するなんて」
長野「さあ、確証はないよ。それは俺の憶測だもの、ただの。」
剛「でも、長野くん、超能力者なんだろ？」
長野「あ、そっか」

振り向いてそういったら長野くんはいつものようにふわりと笑っていた

剛「ねえ、」
長野「ん？」
剛「長野くんは行かないの？」
長野「剛が気になってるんでしょ？」
剛「一緒に行こうよ」
長野「俺はもういいよ、それに。剛は顔が見たかったんじゃないの？」
剛「えっ」
長野「で、まだ眠れてないんだったら健と一緒にいるつもりだったんじゃない？それに自分で確かめなきゃ気が済まないんじゃない？俺が言ったら俺が坂本くんと話すことになるだろ」
剛「…やっぱり、長野くんは超能力者だね、じゃあ俺、行ってくる」

俺は思わず頬が上がった
長野くんの優しい笑顔と言われた言葉で決心した

やっぱり、長野くんは優しいや。
変だとも思ったけど、やっぱ、そんな変じゃなくね？
誰だって最初は距離があるだろうし、そこまで変だったかな
変だといえば、この超能力くらい(笑)
やっぱり、健が変になってたから健がそう感じたのかな

俺は健に会いに気持ちを引き締めて坂本くんちに向かった

坂本くん、ちょっと苦手なんだよなあ…

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—ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

坂本「はい」