【言葉のいらない瞬間】5 (ページ7)

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*177 剛side ページ7

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今俺は長野くんと一緒に坂本くん家に向かっている
長野くんと二人きりなんて何だか嬉しい
長野くん曰く、健は岡田と井ノ原くん両方といざこざがあったんじゃないかって言っていた…

長野「ごめんね、剛、車持ってなくて、お金無いからさ」
剛「いや、いいよ長野くんについてきてもらえるなんて思ってもなかった。それよりこんな時間にごめん」

長野くんは俺をからかうようにして声をのトーンをあげた
長野くんは改札機の前で切符を2枚買いながら言った

長野「お？剛、今日はやけに素直だね、健が心配？」
剛「長野くん、その事なんだけどさ、長野くんはどうして、」
長野「剛と一緒」
剛「え？」
長野「そろそろやばいなあって思ったんでしょ？」

長野くんのテンポが速くてついていくのが大変だった
いっていること1つ1つが的をすべて射ていて長野くんに飲み込まれそうだった
俺は以前健に言われたことを思い出した。「長野くんって変だよね。僕らを遠けてるっていうか。長野くんってさ、話してると本当のこと聞く前に話をすり替えられちゃうてかさ…」って言っていた

それがこれか。

長野くんの話をしているのにこのままだと俺がしゃべることになる気がした
長野くんのことを聞きたいのに

剛「え、だから、長野くんどうして？！健と顔を会わせてた訳じゃないだろ、だって俺たちが長野くんに顔をガッツリ会わせたのって岡田んちに乗り込んだ一回くらいだし。しかもそんとき長野くん、熱あったっていうじゃん…なのに何でわかったんだよ、健のこと」
長野「どうしてかなあ…岡田の話を聞いてたからかな」

電車がきて二人で乗り込んだ

いや、それだけじゃないはずだ
長野くんにはきっと何か、確信をもてるようなことがあったはずなんだ
話を聞いてただけでわかってたまるかよ

剛「何だよそれ。だって岡田は気づいてなかったぜ」

長野くんは考えているそぶりをするとにこっとこっちを見て笑った

長野「こういうことって客観的にいる人間の方が気づくんじゃないかなあ」
剛「違うでしょ？なんで隠すの。長野くんっ、いつもそうやって俺らを遠ざけてるの？何で？岡田にもそうなの」
長野「何？剛？遠ざけてなんかないよ」

じゃあ隠してるはいるんだ…

長野くんはふわりと笑った