【言葉のいらない瞬間】5 (ページ43)

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I wanna meddle in him*212 坂本side ページ43

「Happybirthday…」

「健さ、……自分が嫌すぎてどうにもならなかった。自分で自分のことが分からなくなって混乱してたんじゃないかなって思う。」

…

今は夏休み直前、期末テスト終了の次の日だった
テストから解放され俺らの目まぐるしい1週間はあっという間に過ぎて行った
ここ職員室はようやく落ち着きを取り戻しつつあった
でも俺の斜め後ろは決して穏やかではなかった
斜め後ろは1年6組の担任の机、そう井ノ原が机の上に突っ伏していた

まあ初めての期末テストだったから無理もない。中間に比べて範囲も広いし生徒たちの精神的なバランスとかも乱しやすいし、教員もバタバタだ。この時期のどんより感は俺にとっては恒例のものだが初めてでついていくのは苦労する。

おまけに井ノ原には昨日から批判殺到中だ
井ノ原の担当教科は体育・保健。そしてそのテストは偶然に全学年最終日の昨日と重なってしまった。1年は最後、2年は２限、３年は１限を飾るものだった。
生徒は最終日が保健ということをいいことに他の教科、1年は物理基礎と数学Ⅰか？俺んとこは、世界史と化学だったな、とりあえず、他教科に力を入れることは目に見えていた
だが、テスト終了の合図とともに井ノ原への批判が殺到した
保健なんて大体記号問題で教科書を一通り読んでおけばそこそこはとれるものなのに
保険は期末からで初めてのテストだったからか張り切って作りすぎたのか、批判殺到中だ
井ノ原どんな問題作ったんだよ

俺は忙しさから解放されて、といっても、答案返却に向けて忙しいのだが

つい1週間前、その忙しくなる直前に行われた健の誕生日サプライズでの長野のことを思い出していた
そしてその前に長野が岡田のとこをプチ家出といって俺ん家に来た日のことも頭をよぎった

何だってんだあいつ。
あー！もう。あいつに2号店のこと言わなきゃいけないのに
あいつのことが気になって言い出せねえ。

岡田「まあくん。」

そのとき左隣から岡田の声が聞こえて俺は顔をあげた
井ノ原も岡田の声に反応し体をこっちに向けているのが感じ取れた

坂本「ん、？どうした？岡田？」
岡田「まあくん、」
坂本「岡田？…」

どうやら俺に用があるらしく深刻な顔で話しかけてきた。

なぜ、岡田は俺なのか？
何故井ノ原に対してじゃないのか、口を少し開けて岡田のことを見ていたら井ノ原がキャスター付きの椅子をころころとこっちに近寄ってきた