【言葉のいらない瞬間】5 (ページ38)

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*208 剛side ページ38

剛「そして文句言ってやる。」

岡田にあれこれ話してたら何だか俺が意地張ってたりしてたのが馬鹿らしく思う
さっき健に意地とか言ったけど意地になってたのは俺の方。
あいつが大丈夫だって言ってんのに井ノ原くんを付けた、
あの医師が健のこと舐めてんじゃなくて本当は俺の方があいつのこと舐めてんのかも

今回遠足までにあいつに話を聞いてやることができなかったから俺が意地になって過保護させたのかも

あーあ。俺ってくだらねえ

俺は腰に手をつきながらぐるぐると考えていた

剛「あいつ遅せえなあ」

岡田をちらっと見ると俺の方を見ていて口元がくいっと上がっていた

そんなリラックスし始めた岡田を見て今日もずっとしまい込んでいた岡田への違和感を聞いてみたいと思った

剛「なあ、岡田。」
岡田「ん？」
剛「俺が話したからとかそういうわけじゃないけどさ」
岡田「うん？」
剛「長野くんと岡田って…」

井ノ原「あれえ？剛、岡田？どこ行ったんだあいつら」

岡田「あ、よしくん戻ってきた！！」
剛「あ、行くぞ岡田っ」

んだよ、タイミングわりーの！！いいや、また後で。
とりあえず今は健が心配だ
あいつどんな顔してるだろ

俺は夢中で駆けだした

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

剛「健ッ」
健「剛…」

俺は少し疲れた感じの健の両腕をぎゅっとつかんで擦った

健「今日は、母さんとは会えないって。でも、実はさっき俺だけ病室のぞかせてもらったんだ。今はね抗不安薬や、抗精神病薬を投与されて落ち着いて寝てるから覗かせてもらえた。」
剛「そうか」
健「母さん痩せてた。目にクマがあってやつれてた」
井ノ原「離脱症状は3週間ほど続く見てえでな、発熱や不眠の症状が続いてるらしい。」
剛「健。」
健「もう一回来てもいいかな？様子見るだけでも。ちゃんと母さんが完治していくのを見届けたい」
井ノ原「何言ってるんだよ健！俺らはいくらでも行くぞ、な？」
岡田「当たり前や、俺は健くんについていくだけや」

俺らが健を囲ってそういうと健は歯を食いしばりながら凛々しい顔をして頭を下げてぶんぶんと振った

あたまに隠れて動いたのは見えなかったけど健ののどぼとけがごくりとなるのが健の両腕掴んでいる俺だからこそ聞こえた

ゆっくりと健は顔をあげて俺と井ノ原くんと岡田をしっかりと視界にとらえた