【言葉のいらない瞬間】5 (ページ36)

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*206 岡田side ページ36

剛「なあ、岡田っ、お前のせいじゃないって」
岡田「健くんを遠足に誘うときな？お母さん、健くんを養ってくれている時点でお酒一番だって思ってないだなんて俺なんも知らんで言うたんや。最低やねん。」
剛「もう！何なんだよっお前じゃあ知ってたらどうだっていうんだよ」
岡田「知ってたらもっと他にかける言葉が」
剛「そんなの同情だろ。そんなの健は望んでない。あいつ、お前と会ってから変わったよ」
岡田「え？」
剛「前向くようになった。あいつの母さんに酒が入った時はただひたすらに従ってたみたいだけど。どうにかしようって思ったらしいぜ？それに遠足を頼んだのだってあいつにしちゃ珍しかったんだよ。それは、岡田の説得あってだし、何よりお前があいつを変えた。」

剛くんは一通り話し終えると椅子からひょいっと立ち上がり飲み終わったコーラの缶を捨てた

気づかなかったけど剛くん俺にはお茶なのに…

剛「あ、あと健と話してたことだけど、健のお母さん俺たちがひっそりあってたのいつからだか気づいてたみたいで、もう俺のことは許すって、というかごめんなさいって話だった。だから、すぐには無理だけど俺は、ちゃんとあいつの母さんに会う。そして文句言ってやる。」

だいぶ正直でやさしいかった剛くんの中にいつもの剛くんらしさが残っていて俺は少し笑みがこぼれた。

んーやっぱ、それでも優しかった。

でもそんな剛くんを見ていると何だか少し挙動不審に見えた

そして剛くんは腰に手をつきながらぐるぐる回って一言だけ“あいつ遅せえなあ”といって俺の方をちらっと見た

剛「なあ、岡田。」
岡田「ん？」