【言葉のいらない瞬間】5 (ページ30)

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*200 岡田side ページ30

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岡田「え？健くんお母さんに会いに行くん？！ひろしほんまかいな！」

眠くないとか言いながら俺はだいぶ寝ていたようだ
勢いよくド突かれて目を覚ましたら目の前にはよしくんがいて
隣には俺よりも少し前に健くんに起こされたらしい剛くんが寝起きだからか機嫌の悪そうにしていた

剛「ああ、これから行ってくる」
岡田「行ってくるって…健くんのお母さんもう大丈夫なん？」

俺はうかつだった
皆が俺から眼を反らし強張った表情をしていた

岡田「ごめん」

そこにひろしの柔らかい声が入ってくる

長野「様子を見に行くだけだよ」
岡田「そっか。」

俺はいつもひろしのそんな声に助けられた

健「まだ、入院してから4日だよ？そんなすぐには治らないから！3か月の入院って聞いてるし」
井ノ原「健。」

よしくんは真剣な顔をして健くんに呼び掛けた
それに反応するかのように健くんの顔も真剣そのものになる

井ノ原「もしかしたら、嫌なものを見ることになるかもしれない。それでも行くか？」

最終確認といったようによしくんは尋ねた
健くんはしばらく黙って下を向いた
顔をあげるととっても凛々しい顔をしていた

守るべきもの。

彼からそんな言葉を見せつけられたような気がした

健「俺ならもう大丈夫だよ。母さんに会いに行く」
井ノ原「そっか。」
健「でも…」
井ノ原「ん？」

健くんがこっちに振り返って決して甘えではない逃げでもないその表情は決意の表れだろうか…
俺の顔をしっかり見つめてから健くんは口を開いた

健「岡田も一緒に来て」
岡田「えっ？」
健「岡田、岡田がいい。」

なんで俺なんだろう…
健くんのお母さんと電話で話したからやろか？
気にいられたからやろか？
剛くんだと訳ありだからやろか？
健くんの決意の言葉に俺は戸惑った

健くんは決めているのに俺が迷うなんて情けない。

岡田「俺は…」
健「うん。」
岡田「健くんについていく。何が何でも健くんについていくんや」
健「サンキュッ岡田。」
井ノ原「じゃあ、岡田お前家出る前にその髪、どうにかしろ。」
岡田「えっ髪？」

よしくんの一言で静まっていた空気が一瞬にしてほどけた
俺はとっさに自分の髪の毛を掴んでわさわさした

ん？なんやろこの違和感…

剛「げっ岡田またアホ毛立ってるっ！！」

えっ