【言葉のいらない瞬間】5 (ページ18)

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*188 健side ページ18

全ては俺のせいだ。わかってる。でもどうすることもできなかった。
俺はとにかく話を反らしたくて話の対象を長野くんに変えた。

健「ねえ。長野くんと会ったの？」
剛「あ、あったつーか、長野くんにお前の居場所教えてもらったんだよ」
健「長野くんとは岡田んちであったの？」
剛「え、ああ。岡田んちに尋ねてたらちょうど帰ってきてさ、坂本くんちにいってたんだって」

―ドキッドキッドキ

少しづつ鼓動が早まっていく

俺は後ろに振り返って剛の顔を見てたずねた

健「そっか。長野くんちゃんと帰ったんだ。ねえ、俺のことなんか言ってた？」
剛「お前と長野くんが話したことだったら何も言ってなかったよ。」

俺の問いに剛はゆっくりと答えてくれた

―トクッ、トクッ、トクッ

少しずつ鼓動が収まってくる
剛はしばらく下を見て考えると何かひっかかったのか顔をあげてきた

剛「なあ健。長野くん。ちゃんとって…ちゃんと帰ったってどういうこと？」
健「ああ。長野くんさ、坂本くんちに来たとき、プチ家出しに来たって言ってたんだ。だから、ちゃんと帰ったのはなんか意外だなって思ったの」

剛は納得すると俺の顔をまっすぐ見て即答した

剛「岡田だろ」
健「え？」
剛「だってあいつ、夜遅くに尋ねたのに起きてた。それは多分お前と喧嘩したから寝れなかかっ…あ、悪い。」

あ、そっか。だから長野くん。家でって言っても結局家に帰ったんだ。
俺のせいで岡田眠れなかったんだ。

グルルル…

今度はお腹が痛くなってきて思わず顔をしかめた
剛に見られたかも

健「ううん…岡田、怒ってる？」
剛「怒ってねえよ。」

俺はひとつの不安が思い立った

健「もしかして、今向かってるところって岡田んちだったりする?」
剛「ああ、そうだよ」

―ギュルルルル

健「いやだ、行きたくない。俺あいつに合わせる顔ねえよ」
剛「健、」
健「だって俺あいつに」
剛「だったら尚更。早く謝らなきゃいけねえだろ」
健「今日は嫌だ」

―ズキッズキッ

今度はさっきとは違う重たい痛みが走った
少し呼吸が荒くなる

剛「いいから行くんだよ」
健「…はあ、はあ。何だよ、剛！偉そうに」

俺はもはやどこが痛いのかわからなくなって混乱した
とにかくこの場から早く立ち去りたくて剛に強めに当たってしまった