【言葉…】特編 「記」

001*坂本side ページ1

坂本「何でお前ここにいんだよ」
長野「迷惑だった？」
坂本「いや別にそんなんじゃないけどさ」
長野「じゃあ、別にいいよね」

今日こいつは俺の車の中に乗り込んできた
俺はそれからぐるぐるおんなじ道をドライブをした
そして2時間がたっていた
長野に対して何度も何度も降ろすぞって目線を向けたんだが
助手席に座る長野は相変わらずにこにこしていた

長野「坂本くん、さっきから何度も同じ道をぐるぐるしてるけど、先進まないの?」

長野は助手席でフロントガラスの先をまっすぐに眺めていた

お前が乗ってるから進めねんだよ！！

坂本「あのなあ…」
長野「迷惑じゃないんでしょ?だったら行こうよ、やっぱり俺に気をつかった?」
坂本「いや…だから…その…」

迷惑っていうか、なんていうか、
…だから何でお前がいんだよ！
よりによって今日なんかに…

長野は俺がぶつぶつと思いめぐらしているのを
横目で見て確認してから俺の方に向き直った

長野「さあいこうよ、遅くなっちゃうよ?」
坂本「行こうってどこ行くのか知ってんのかよ」
長野「え？実家でしょ?坂本くんの」
坂本「は？え？何で知ってんの?」
長野「毎年坂本くんは自分の誕生日に実家に帰ってお母さんの様子を見に行ってるよね、今年も行くでしょ？」

さも当たり前だというように長野はきょとんとした顔で言ってきた
天然なのか、策略があるのか…
こいつのことはやっぱり読めなかった
なんで俺の誕生日知ってんだし
何で俺の行動把握してんだし
俺いつも一人でこっそり行くのによお

長野「そんな顔しないでよ坂本くん、良いでしょ？ほらいこっ坂本くん。あっ青信号！早く出して」

あーこいつに聞いても無駄か、どうせ答えねえだろ

俺はアクセルを踏んで車を動かした
やっぱり俺はこいつを連れていっていいのか不安だった

なぜなら…

連れていくということは、わざわざ俺の誕生日に自分の親を長野に見せるということになるんだ
俺は両親というものを自分の誕生日に殺されて、里親には捨てられた長野に親という存在を見せたくはなかった…
しかも誕生日という日に

でも…

こいつはそれを知っての上でついて来た
つい三週間前にあった健の誕生日にも参加してたし…
俺はあの日てっきりすぐに帰ると思ってたんだ。なのに…

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