W.A 決心編*073 長野side ページ40
W.A 決心編 長野side
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井ノ原が帰ったあと、僕は物件の書類を取りだし、もう一度目を通していた。
でも、なかなか内容が頭に入らなかった
“自由にしていい”
そう言われたけど…
自由って何だろう…
今までずっと自由であり自由じゃなかった僕に自由の意味なんてわからない
自分がしたいことなんて今更ない
部長は16の時からの僕を知った上でこの仕事(2号店)を頼んできた
自分の意見なんて必要最低限しか言わなくて、積極的だなんてとてもじゃないけど言えなかった
生きるために必要最低限しかやらなかったのに…
なのに何故?
何故、僕にこの話が来たのだろう…
何度も同じ書類を触り、眺めてはこれといったものを感じずにてを止めてしまった
何も思い付かない…僕じゃ2号店をダメにしてしまう。
こんな気持ちで向き合っていい仕事ではない
僕は書類をかき集めて1つにまとめるとトントンッと揃えた
やっぱりクビを覚悟して断ろう…
これ以上会社に迷惑をかけたくない
自分のなかで少し整理がつき書類から神経を遠ざけるとインターホンから何度もならされている音に気づいた
ーピンポーン、ピンポンピンポンピンピンピンポーンー
僕は玄関に向かいドアの小さい穴を覗き、誰が来たのかを確かめた
坂本くんだ…
ーピンポーンー
またも、鳴らしては少し諦めたような顔をした
一体どうしたんだろう…
ドアは開けずにまずはインターホンにでる
長野「はい、長野です、坂本くんどうしたの?」
坂本「俺だってわかってんだったら開けろよ!何度も鳴らしたんだぞ」
なんか怒っているようにも見えたから開けたくなかったけど
開けることにした
開けたら、インターホンからの声の態度から変わって心配な顔をした坂本くんがそわそわしながら立っていた
坂本「元気か」
僕は玄関の外にいた坂本くんを玄関に引っ張って、スリッパをだした
長野「まさか坂本くん、それをいいにきたの?」
坂本「…。顔色は良いみたいだな。お前今日、仕事は?」
長野「家でやってるよ、仕事あると思ってるんだったら家に来ないでよね」
坂本「わりぃ、いや、でも、さあ、こないだ仕事外されたって言ってただろ?」
長野「クビになったか心配してくれたんだね、俺もねクビにされると思ってたんだ、この通り大丈夫だったよ」
僕は満面な笑みを坂本くんに向けた
まだ気にかかることがあるらしく
パッとしない顔で靴を脱いだ
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作者名:みりん | 作成日時:2016年3月13日 21時