【言葉のいらない瞬間】2 (ページ28)

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*064 健side ページ28

三宅「どうして長野くんがまだ家にいるってわかったの？施設にいるかも知れないじゃん」
岡田「わかるよ、だって毎月手紙が送られてきてたんだもん、俺の両親は読まなかったけどね、だからひろしは俺の両親を忘れられない、戻ってきてほしいって思っていて自分達に危害が及ぶと思わなかったんだ、そして、俺を送ったら自分と重ねて助けるか、俺を恨んで殺すか、捨てるかって考えたんだと思う」
三宅「そんなひどい話」
岡田「あるよ、実際9歳のときに俺のせいでひろしは捨てられたんだ、そしてずっと帰りを待ってた俺の両親を。だからひろしにはっ」

俺は食いぎみに言って言葉を遮った
違うよ岡田、お前は悪くない

そうか、だから岡田は長野くんに対して異常な執着心があったのか

三宅「それは！岡田のせいじゃないじゃんっ」
岡田「でも、僕が引き金なんだ、その事実は変わらないよ」

ーｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ、ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝー

五時間目の予鈴が鳴り響いた

岡田「やばいよ、健くん、ご飯食べ終わってないよ、でも戻らなきゃ」

岡田は自分の弁当を慌てて片付けて俺の腕を引いた
岡田があのとき隠してたのは長野くんを守りたかったからだでもあのとき、反対に長野くんが岡田を守った、だから岡田はあんな顔をしてたんだ

所々岡田が変な関西弁を話すのは両親に捨てられたことを隠すために親とも連絡を取っている設定として使っていたのかも
それと本当は好きだけど恨んでいる、そんな気持ちが所々に交互していてこうさせているのだろう…

そうだね、岡田、母さんに頼んでみる
俺は母さんから逃げていただけかも知れない。

頑張ってみるよ

一緒に走りながら岡田に小声で伝えた

三宅「岡田、話してくれてさんきゅー」

精一杯の感謝と笑顔を向けた
岡田もにっこりと笑い返してくれた