◇004◇ ページ4
・
・
雑誌の撮影から何日か経って、今日はWESTの冠番組収録日。
「はぁ...今日大丈夫かな」
一番最初に珍しく楽屋に到着した小瀧は、ソファーに体を沈めるとそう小さく呟いた。
あれから他の仕事で度々 " 不安 " を感じることが増えていた。
テレビの仕事や雑誌は、もうJr.になった小学生の時からずっとやっていること。
それなのにその慣れたはずのことが、いざカメラを向けられるとやり方を忘れてしまうのだ。
『表情かたいよー』
『はい、そう!いいね!』
スタッフさんからそう声がかかると、すぐになにかを取り戻したかのように体は慣れたようにポーズをとりはじめ、頭も停止した状態から動き出す。
それが唯一の救いだった。
なにかを忘れたように、動けないのはほんの数秒の間だけだから。
でも、それもだんだん動けない時間が長くなってるように小瀧は感じはじめていた。
「まだ来んよな...」
スマホの時刻は入り時間にはまだまだ時間がある。
こんなにメンバーの顔が早くみたいと思ったのは、時間が早く進んで欲しいと願ったのは初めてかもしれない。
それくらい、今はこの不安を早く消して紛らわしたかった。
・
・
139人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えな | 作成日時:2018年6月29日 3時