できるできない (ページ3)

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「小瀧くん、もっとCOOLな感じで！」

「目線外し気味で！」

スタッフからの指示が飛び交う声が響きわたるスタジオで、小瀧はこの日自身がモデルを務める雑誌の撮影をしていた。

短時間に次々と服を着替えて、慣れたスタジオで何度も仕事をしているスタッフとの連携プレイでスムーズに進んでいるかに思えた。

「なんか違うんだよなー、、、」

そんな声が小瀧の耳に入るまでは。

小さな声だったこともあり、誰が言ったかまでは分からなかった。

ただ、あの生放送の歌番組を収録した日から敏感になっていた小瀧は「すいません、今の大丈夫ですか？」と聞いた。

「え？大丈夫ですよ！いつも通りカッコイイですから笑」

「そう、、、ですか」

しかし、スタッフ側からはOKと声がかかってその日の撮影はモヤモヤとしたら気持ちで続けることになってしまった。

「お疲れ様でしたー」

スタッフに挨拶をしながら、楽屋へと続く道を歩いて行く。

楽屋に着き、扉を閉めれば即席のプライベート空間の完成だ。

「はぁ、、、。」

撮影中に気づかぬうちに気を張っていたらしい。

小瀧は、あの日からつくことが多くなった溜息を一つついて、衣装を乱雑に脱ぎ捨てた。

「ちゃんとできへん...こんなんじゃあかん」

顔を上げて見えた、鏡台の中の自分は疲れた顔をしていた。

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