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私を見る副編集長の瞳に色はなく、
ただ私に鋭い視線を向けるだけだった。
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渡 「…何やってんだよ。」
あ 「本当に申し訳ありません、!あの…、」
渡 「うっかりしてて?この撮影の為にどれだけの時間を費やして来たと思ってんだよ!」
あ 「っ、」
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副編集長の強い口調が静かなスタジオに響いた。
返す言葉が、まるで見つからない。
だって、今回のことに関しては私が全部悪いから。
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きっと謝るだけじゃ許されない。
異動して来て数日でこんな失敗を犯してしまうなんて、
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だけど、今はとにかく謝るしかない。
立ち上がって副編集長と目線を合わせようとすれば
彼は呆れた様に大きく溜息をついた。
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渡 「…これで、よく分かったわ。」
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あ 「えっ、」
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渡 「そもそもこの編集部にお前みたいなの不釣り合いだったんだよ。どうせ命令されたから、嫌々ここに来たんだろ?」
あ 「そんなこと、!」
渡 「自分を変えようとする努力もしない。しかも、こんな簡単な仕事すら出来ない。そのくせ態度だけは一丁前で。まじ笑えるわ。」
あ 「私は、」
渡 「…もう明日から来なくていいから。」
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もう明日から来なくていい。
それはいわゆる遠回しのクビ宣告だった。
この部署に私が不釣り合いなんてとっくに分かってたよ。女性のカケラなんて微塵もない私が、こんな大手出版会社へ異動するなんて最初から間違いだったんだ。
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…、…
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梨 「副編集長、タオル持って来ましたっ。」
向 「変えの衣装も。
倉庫室にあと一点だけ運良く残ってたみたいで。」
渡 「すぐ衣装チェンジして。あとメイク直しも。」
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その場に立ち尽くしていれば、
副編集長は私の横を通り過ぎて耳元でボソッと呟く。
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渡 「…いつまで突っ立ってんの?邪魔だから早く出てって。お荷物と一緒に仕事するとか御免だから。」
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あ 「、失礼します…、」
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向 「…メガネ、ちゃん?」
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スタジオを出るまではなんとか泣くのを我慢した。
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あ 「ぐすっ…、」
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案の定、そこを出ればポロポロと涙が溢れて来て。
ここで頑張るって決めたのに私、全然頑張れなかった。
自分の不甲斐なさにただ腹が立って仕方なかった。
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しおこーじ - ツンデレな翔太くんと、途中過程な主人公が、どう惹かれあっていくのか楽しみです!!私は康二くん推しなので、30ページすごいきゅんっとしました\(*' '*)\続きどうなるかな〜♪と楽しみにしてます!!あまり無理せず、頑張ってくださいっ!!応援してます♪ (2022年11月15日 6時) (レス) @page30 id: 7a72ebc835 (このIDを非表示/違反報告)
さら - 出会い最悪の二人が、どうやって惹かれ合っていくのか、すごく楽しみです!💙くん大好きなので、続きを楽しみにしています! (2022年9月19日 22時) (レス) @page11 id: 61162ff126 (このIDを非表示/違反報告)
莉奈(プロフ) - 翔太くんのお話楽しみです🎵 (2022年9月12日 5時) (レス) @page7 id: 10c5e94b95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - コメント失礼致します。すっごく面白いです!しょっぴーの俺様キャラで、途中過程で主人公の女の子とどう惹かれ合うのかが楽しみです!大変かもしれませんが頑張って下さい! (2022年9月11日 17時) (レス) @page6 id: 45f6799fa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろーばー。 | 作成日時:2022年9月11日 11時