名家の次期当主に溺愛されています (ページ17)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,680 hit

。゜+゜。〇-Episode1：運命の出会い-〇。゜+゜。ページ17

.

春子「沙耶さんも拝見されたから分かると思いますけど、とても美しい方だったでしょう？その影響もあり、数々の名家の令嬢から縁談を申し込まれたそうなの。でも、それを全て断ってるんですって」

沙耶「だから、女性に興味が無い…と？」

春子「そういうことです。もったいないですよね、あんなに素敵な方なのに」

沙耶「…」

外から話し声が聞こえてくる

春子「おや？誰か来たのでしょうかね？」

沙耶「こんな夕方に来客…？」

カーテンを少し開けて外の様子を見ると、玲奈が真斗と一緒に歩いているのが見える

沙耶「っ！！」

春子「あら…。真斗様、今日は玲奈さんを連れてご帰宅のようですね…」

沙耶「…」

真斗と玲奈は、『華月(かげつ)学園』というセレブ御用達の学校に通っている

学年は違うが同じ高等部に通っているということもあり、この婚約を機に一緒に行動するようになったようだ

改めて、真斗の隣に玲奈がいる様子を見ると苦しくなる

今までは、自分が真斗の隣にいたのに…

何となく流していたつもりではあったが、婚約破棄の事実を痛感してしまう

春子「…沙耶さん、今日の夕食の支度は出ない方がいいです」

沙耶「でもっ…」

春子「桜庭さんに、事情は話しますから…」

沙耶「いえ…平気ですよ。些細な理由で、仕事を放棄するのはダメですから」

春子「沙耶さん…」

.

居間

普通の住宅の居間の何倍あるか分からない広さの畳みが敷かれた居間だ

簡単に例えるなら、高級旅館の食事処のような場所

ここでいつも、近衛家の人間たちは食事をしている

そして、食事は全て使用人たちが献立を考えて給仕している

今日は玲奈が突然押しかけて来たため、急遽1人分多く用意することになって使用人たちは慌てている

そして、使用人長の桜庭は真斗に「彼女を連れて来るのであれば、事前に連絡を入れなさい」と注意していた

沙耶と婚約していた頃はそんなことなかったはずだ

沙耶は事前に「この日に、真斗の家に行きたい」と約束していたため、近衛家に迷惑をかけたことがなかった

玲奈の場合、突然「真斗の家に行きたい」と、わがままを言い出したに違いない…
そんなことを考えながら、沙耶も他の使用人たちと夕食の準備をする

.