秋空 (ページ23)

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カイトなんて今時の名前だしね。

たまたまだよね…

「カイトくん超ダンス上手いんだよ！
話してる時はかわいい感じなのに
曲かかるとすっごいかっこよくてさ～」

『前にもカイトくん？の話ししてたっけ？』

「えっ！？話したでしょ！笑
もう、人の話聞いてないんだから！」

『…ははっ。そうだっけか』

「あっ！ってか、その雑誌貸して？」

"カイトくん"についてマシンガントークを
繰り広げていた希空は
私が持っていた雑誌をおもむろに
取り上げパラパラとページをめくった。

「はい！これがカイトくん！」

希空はさっき私が見ていた雑誌の
全く違うページを開き
"カイトくん"を指した…

『…海人』

「ねっ！かっこいいでしょ！？」

そこに写っていたのは
紛れもなくあの"海人"で…

でも…

私の知らない"カイト"だった

『…そ、うだね？笑』

「あれ？タイプじゃない感じ？
まぁ、Aにはジンくんがいるもんねー」

『…いや、そういうことじゃ…』

「ん？俺が何？」

ふと声がした方を振り返ると
ジンくんがいた。

『あっ、いや…なんでもn…』

「Aはジンくんがいるから
カイトくんには興味ないですーって話！笑」

「…かいと…くん」

希空の発言にジンくんの表情が
一瞬曇ったように見えた。

『ううん！なんでもないよ！
ジンくん、おはよう。』

「…おはよう。それとジンくん呼び禁止だよ？」

『うん…』

いつものように優しく頭を撫でてくれている
その手からいつものような暖かさが
感じられない…

「ちょっと、私もいるんで
イチャイチャするのはその辺にしてもらって
いいですか？笑」

「あぁ、ごめんごめん。笑

…で？その"かいとくん"がどうしたの？」

いつものように
私の隣に座る勇太。

その視線は私たちの前にある
雑誌にすっと向けられていた。