秋空 (ページ2)

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「Aちゃーん！」

『海ちゃん！』

私を見つけると遠くから走って
ギュッと抱きついてくる
私の幼なじみ高橋海人。

「今日は何して遊ぶ？」

『海ちゃん、男の子と遊ばなくていいの？』

「いいの、Aちゃんと遊ぶの！」

幼稚園に通っていた頃は
こんな会話が朝の定番だった。

家が近いこともあって
幼稚園から高校まで私達は
ずっと一緒だった。

「A、帰ろーう」

いつも海人は放課後私の
教室まで迎えに来てくれる。

『ごめん！先帰ってていいよ！』

「なんで？なんか用事？」

『あー、うん。ちょっとね
すぐすむと思うんだけど…』

「なら、待ってるよ。」

『…わかった。じゃあ、行ってくるね』

そう、言うと海人は当たり前のように
私の席に座ってヒラヒラと手を振った。

私が振り返した頃には
もう、海人の周りには何人かの
女の子達が立っていた。

『ほんと海人ってモテるよね…』

幼い頃からいつの間にか
形成されたこの恋心は

月日が経つにつれて
大きさを増していった。

高校まで一緒になったのは
ほんとうに偶然だったけど
こうして朝も放課後も
一緒に登下校できることが
小さな喜びてもあった。