あの日、君に…恋をした。2 (ページ27)

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77-玄樹 side- ページ27

ぽつりぽつりとAは話し始めた。

Aは田舎の小さな町で育ったらしい。
子供の数も少ないほぼ皆が幼馴染のようなもの
小学生の頃は何も無かったらしい。

Aは嘘が苦手で、
物事をはっきりと言うタイプ。

間違ってることは注意したりしていた。
図書館で見たAそのもの。

けど、それが許されたのは小学生まで…

中学に上がれば思春期もあり、
ちょっと反抗するのがかっこいいと思う人も
でてきて、真面目な人間は煙たがられる。

そんなある日、女の子の間で
友達同士の喧嘩から
いじめが起こったらしい。

話しちゃだめだとか、◯◯菌だとか
Aはそれが嫌だった。

別に自分が何かされたわけではないから
その子と話しちゃだめだと言われても
普通に話しかけていたらしい。

そしてそのいじめは、まるで当番のように
代わる代わるターゲットを変えていった。

それは、A自身も例外ではなくて
当然のように順番がやって来た。

ただ…他の子と違ったのは

ターゲットが変わらなかったこと。

『すぐ飽きるんだろうなーって思って
大して気にしてなかったの。

けど、私のその態度が気に食わなかったんだろうね。どんどんエスカレートしてっちゃって。』

こんな時でも笑って話すAに
胸が痛んだ。

『昔から腹が立ってたんだって。
正論ばっかり言って、良い子ぶってって。
空気読めよって。笑』

「別に良い子ぶって無いじゃん。」

『うん。そうなんだけどね。
そう見えるんだよ。
空気読んでたつもりなんだけどね？笑

いじめ始まった時も話しかけるなって言うから
その子の前ではあまり話しかけなかったし、話しかけたらターゲットの子に危害いっちゃうから…』

Aはすごく周りを見ていると思う。
いろんな事に気がついて
先回りして物事を進めている。
誰でも優しく包み込む暖かさを持っている。

ただ、それがまだ幼い子供の価値観の中では
裏目に出てしまったらしい。

神「じゃあ、いじめから逃げてきたってこと？」

『…ううん。違う。
私は、自分から逃げたんだと思う。』

「…自分自身ってこと？」

『…うん』

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