あの日、君に…恋をした。2 (ページ12)

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駅に着くと、当然のように離れていく手。

寂しさを覚えながらも
今手を繋いでいる理由も思いつかず

タイミングよく来た電車に乗り込む。

カタンコトン…
カタンコトン…

規則正しく鳴る電車の音。
隣に座るAの顔をそっと盗み見る。

その瞳は、窓の外の流れる景色を
ずっと映していた。

電車を乗り換えると
さっきよりも少しだけ人の増えた車内。

座れる場所はなくて

ドアの前の空いたスペースに
扉を挟んで少し寄りかかりながら
向かい合うように立つ。

「雨ひどなってきたな。」

『そうだね。』

「明日休みやからいいけど、
はよ晴れて欲しいな。」

『うん。』

短い会話。

Aから返ってくるのは
問いかけに対する答えか
軽い相槌ばかり…

次第に近づく別れの駅。

電車のスピードが少しづつ
遅くなって行く…

『じゃあね。その傘使っていいから。』

「えっ…」

『ばいばい』

振り返ることもなく
そのままホームへと降り立った。